コワーキングスペースとシェアオフィスの違いとは?

近年では、働き方改革やコロナ禍によるテレワークの普及によって、コワーキングスペースやシェアオフィスを活用する人が多くなりました。
コワーキングスペースやシェアオフィスを活用するときは、それぞれの特徴を把握したうえで、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。
この記事では、コワーキングスペースとシェアオフィスの違いを明確にするために、それぞれの特徴やメリット・デメリットなどを徹底解説していきます。
目次
コワーキングスペースとシェアオフィスの違い
コワーキングスペースとシェアオフィスには、利用目的や機能、料金面に以下のような違いがあります。
特徴 | 機能 | 料金 | |
コワーキングスペース | ・複数人でオフィススペースを共有(シェアオフィスの一種) ・コミュニティづくりや共創を重視 | ・ワークスペースの利用 ・オフィス備品の共同利用(デスク・有線/無線LAN環境・複合機・ホワイトボードなど) ・会議室の利用 ・キッチンスペースの利用 ・オフィス不在時の電話やFAX対応 ・郵便物の転送 ・法人登記 (一部サービスが有料オプションの場合もある) | ・時間や日単位で利用できるドロップインのコースが主流(なかには月額利用できる施設もある) ・相場は一時間:500円~、一日:2,000円~程度 (※ドロップインの料金相場は、地域や立地、規模によって開きがある) |
シェアオフィス | ・複数人でオフィススペースを共有 | ・ワークスペースの利用 ・オフィス備品の共同利用(デスク・有線無線LAN環境・複合機・ホワイトボードなど) ・会議室の利用 ・オフィス不在時の電話やFAX対応 ・郵便物の転送 ・法人登記 (一部サービスが有料オプションの場合もある) | ・月額コースが主流(なかにはドロップイン可能な施設もある) ・月額コースの料金相場は固定席:10,000円~60,000円程度、自由席:5,000円~30,000円程度 (※月額プランの相場は、地域や設備、規模によって開きがある) |
ここからは、コワーキングスペースとシェアオフィスの違いについて、詳しく見ていきましょう。
コワーキングスペースとは?
まずは、コワーキングスペースの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
特徴
コワーキングスペースとは、一つの空間や施設を個人や企業で共有するサービスの総称です。施設内にはフリーアドレス形式のワークスペースが用意されており、基本的には自分の好きな場所で作業を行なえます。多くのコワーキングスペースは、とても開放的でカフェに近いイメージです。

コワーキングスペース(Co-Working Space)の特徴は、言葉の意味を考えると非常によくわかります。コワーキングの「Co」は、共創を指す言葉です。
このことから、コワーキングスペースには、その場に集った人との共創やコミュニティ形成に重点を置くという特徴があります。
利用料金は、空いているスペースを一時利用できるドロップインコースが一般的です。なかには、月額利用できる施設もあります。
コワーキングスペースには、後述するシェアオフィスと同様に、仕事に必要なオフィス機能や設備、備品が整っているという魅力もあります。
メリット
コワーキングスペースを利用する最大のメリットは、その環境で出会った仲間と一緒に新しいプロジェクトを立ち上げたり、同じ志を持つ人同士でコミュニティを作れたりすることです。
たとえば、スマートフォンを使って何か新しいサービスを始めたい場合、コワーキングスペースで知り合ったエンジニアなどに相談をすることで、助言をもらったり共創が実現したりするケースもあります。
また、同じ言語を使うプログラマーやエンジニアであれば、勉強会の開催で新しい技術を共有したり、開発現場で生じる悩みなどを共有したりすることもできます。
デメリット
コワーキングスペースには、人脈づくりや共創を目的とした人が集まりがちです。
しかしそこでは、必ずしも自分と価値観が合う人と出会えるとは限りません。
曜日や時間帯によっては、ほかのグループの賑やかな話し声などが気になり、自分の作業に集中しづらいこともあります。
また、多くのコワーキングスペースは、フリーアドレス式のワークスペースとなっているため、利用者が多かったり多人数のグループが大きなテーブルを独占したりしていた場合、作業場所が確保できないこともあります。
シェアオフィスとは?
シェアオフィスの特徴とメリット・デメリットは以下のとおりです。
特徴
シェアオフィスとは、一つの施設や空間を個人や複数企業が共有できるオフィスの総称です。広い意味では、先述のコワーキングスペースもシェアオフィスに含まれます。
作業場所については、自由に選択可能なフリーアドレス席のほかに、パーテーションで仕切られた一人用の固定席も用意されているのが一般的です。

料金システムは、月額プランが中心です。
なかには、ドロップインで利用可能な施設もあります。固定席を月契約した場合、各席に備品や書類を自由に置き続けられるシェアオフィスもあります。
メリット
シェアオフィスを利用する最大のメリットは、起業時の初期費用やオフィス賃料を大きく抑えられることです。
一般的なシェアオフィスには、以下のような設備や備品が用意されています(利用可能な備品や設備は、施設やプランによって異なります)。
- 電源
- インターネット(Wi‐Fi/有線)
- 複合機(コピー/FAX/スキャナー)
- ホワイトボード
- ドリンクコーナー
- 電子レンジ
- 会議室 など
法人登記や郵便物の転送、オフィス不在時の電話対応といった機能を、有料オプションとして利用できるシェアオフィスもあります。
デメリット
シェアオフィス利用における第一の問題は、ほかの利用者と時間が被ってしまい、自由にワークスペースや備品・設備を使えない場合がある点です。
たとえば、その日の自由席が非常に混雑していた場合、いつもと違う席や環境で作業を進めざるを得ないこともあります。
第二の問題は、セキュリティや情報漏えいのリスクがあることです。
たとえば、フリーアドレスのオープンスペースを利用する場合、お客様から預かった大事な資料や個人情報の扱いに注意する必要があります。
また、個室以外で作業をする場合、トイレやドリンクコーナーに行くときでも、資料をバッグにしまって持ち歩くなどの配慮が必要となるでしょう。
これらのデメリットは、コワーキングスペースにも共通します。
シェアオフィスとコワーキングスペースを使い分ける方法
先述のとおり、シェアオフィスとコワーキングスペースは利用目的や機能面で重なる部分も多く、業界内でも明確な区別はつけられていません。
ですが、コワーキングスペースの場合、利用する客層から見ても、コミュニティ形成やコラボレーションなどに向いている特徴があります。
したがって、たとえば日常的な製作や開発などの作業を集中して行ないたい場合は、普段は月額プランで契約しているシェアオフィスを利用し、たまにコワーキングスペースのドロップインコースで飛び込み利用をするといった使い分けをしてもいいでしょう。
レンタルオフィスについて
レンタルオフィスは、フロアの一部を借りるオフィススタイルです。
シェアオフィスが個人事業主やフリーランス、スタートアップ企業などに適しているのに対して、レンタルオフィスは10名以下の組織や会社に向いています。
レンタルオフィスは個室であるため、コワーキングスペース利用時のように、周囲の賑やかな声や音が気になることはありません。また、仲間との共創などをする場合は、応接室や会議室でミーティングを行なうことも可能です。
仕事の備品を置くこともできるため、デスクトップのパソコンや業務資料が多い企業にもおすすめの選択肢となるでしょう。
レンタルオフィスの利便性については、以下の記事をチェックしてみてください。
関連記事:https://www.tensho-office.com/column/c005/
まとめ
近年人気の高いレンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースには、それぞれにメリットとデメリットがあります。初期費用を抑えて快適な環境で作業をするには、自分の働き方や希望条件に合ったところを選ぶことが非常に大切です。
10名以下のメンバーで会社設立などをする場合は、一般的な賃貸オフィスよりも余計な費用がかかりにくいレンタルオフィスを検討してみてください。