東京のレンタルオフィスの天翔 コラム一覧 レンタルオフィスの基礎知識 事務所の移動に必要な手続きとは?公的機関に提出する申請も解説
事務所の移動に必要な手続きとは?公的機関に提出する申請も解説

事務所を移動する場合、個人の引っ越し作業と違い、オフィスの解約や通信環境の整備、銀行やクレジットカードの登録変更などのさまざまな手続きが必要になります。
また、移転後には法務局や税務署、年金事務所などの公的機関への届出も忘れてはなりません。特に、提出期限がある手続きは、期限より早めに対応するのが大切です。
この記事では、事務所の移動に伴う手続きについて、必要な申請や手続きの流れを詳しく解説します。事務所の移動を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
事務所の移動に必要な手続き
事務所を移転先オフィスへ移動する際には、さまざまな移転手続きが必要です。手続きは、事前準備から移動後まで段階を踏んで行う必要があります。ここでは、事務所移動に伴う具体的な手続きについて解説します。
具体的な移動の流れについては、以下の記事で紹介しているため、ぜひ併せてご一読ください。
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オフィスの解約
会社移転に際して、現オフィスの解約手続きは移転計画の最初に行うステップです。以下のポイントを押さえて進めましょう。
まずは賃貸契約書に記載された解約通知期間を確認し、オーナーや管理会社に解約通知をします。通常、3~6か月前の通知が必要です。次に、契約内容に基づき、オフィスの原状回復工事を行います。費用負担や工事範囲についてトラブルにならないよう、念のため契約書をチェックし、不明点があれば管理会社やオーナーに確認しましょう。
原状回復が完了した後、敷金返還手続きが進められます。返還額は契約内容や修繕費用によって異なります。
インターネット・電話回線の移転
通信環境の整備はオフィス環境の整備と業務継続に欠かせません。移転前に現在利用中のプロバイダーや電話会社に連絡し、新住所への回線移転を依頼しましょう。移転には1~2か月かかる場合があるため、早めの手配が推奨されます。移転先で新たな回線契約が必要な場合、プロバイダー選定と工事日程調整が必要です。
新オフィスで通信設備(LAN配線など)が整っているか確認し、不足があれば工事業者に設置工事を依頼します。
クレジットカードや銀行の登録住所変更
金融機関への住所変更手続きは忘れずに行いましょう。
法人名義の銀行口座の場合、登記事項証明書や印鑑証明書などの提出が求められます。各銀行窓口またはオンラインで手続きを行います。
法人用のクレジットカードについても住所変更申請をしなくてはなりません。変更方法はカード会社によって異なるため、公式サイトで確認してください。その他、リース契約や保険契約なども住所変更が必要です。
取引先への連絡
取引先への移転先住所の連絡は信頼関係維持のためにも重要です。
通知方法に関しては、事務所移転挨拶状を郵送するほか、主要取引先には直接連絡を入れることが推奨されます。旧住所に取引先が向かう状況を防ぐためにも、移転日の数週間前から案内を開始しましょう。
取引先への連絡だけでなく、名刺やWebサイト上の住所情報も速やかに更新する必要があります。
事務所の移動前後で必要な公的機関への申請手続き
事務所の移動にあたっては、各種公的機関への届出が必要となります。以下に、主要な手続きについて解説します。
当記事の情報は2025年3月20日時点のものです。法律や規制は変更される可能性があるため、実際の手続きを行う際は、必ず各公的機関の公式Webサイトや窓口で最新の情報を確認してください。特に、期限や必要書類については、最新の要件に従って対応することが重要です。また、業種や会社の状況によって必要な手続きが異なる場合がありますので、不明な点がある場合は、専門家や各機関への直接相談をおすすめします。
法務局
事務所の移転に伴い、管轄法務局では本店移転登記の変更登記申請が必要です。
項目 | 内容 |
期限 | 事務所移転後、原則として2週間以内 |
必要書類 | ・株式会社本店移転登記申請書 ・株主総会議事録(定款に具体的な所在地が記載されている場合) ・取締役会議事録(取締役会設置会社の場合) ・登録免許税納付用領収証書(収入印紙を貼り付けたもの) ・印鑑届書(管轄外への移転で印鑑を変更する場合) |
提出先 | 管轄の登記所 |
申請方法 | ・法務局の窓口で申請 ・オンライン申請 ・郵送申請 |
本店移転登記は、移転先が同一管轄内か管轄外かによって手続き内容が異なります。同一管轄内の場合は比較的簡易ですが、管轄外の場合は印鑑届出や登録免許税の金額が変わるため注意が必要です。また、オンライン申請も可能であり、効率的に手続きを進められます。
(出典:法務局「株式会社(本店移転(管轄登記所外に移転する場合))」/ https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252661.pdf)
(出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」/ https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)
税務署
事務所移転後、税務署への届出も必要です。
項目 | 内容 |
期限 | 異動届出書は移転後速やかに 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書は移転後、原則として1か月以内 |
必要書類 | ・異動届出書 ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 ・定款のコピー |
提出先 | 新所在地を管轄する税務署 |
申請方法 | ・税務署の窓口で提出 ・e-Taxによるオンライン申請 ・郵送 |
異動届出書は、新旧両方の所在地を記載し、新しい税務署へ提出します。特に源泉所得税や消費税の納付先が変わる場合には注意が必要です。なお、e-Taxを利用すればオンラインで簡単に手続きできます。
(出典:国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」/ https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm)
(出典:国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」/ https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_5.htm)
都道府県税事務所
都道府県税事務所にも、事務所移転の届出が必要です。
項目 | 内容 |
期限 | 都道府県によって異なるが、一般的に移転日から2週間以内 |
必要書類 | ・法人設立・設置等異動申告書 ・登記事項証明書のコピー ・定款・寄附行為・規約等のコピー |
提出先 | 都道府県によって異なるが、異動前・後どちらかの都道府県税事務所 |
申請方法 | ・都道府県税事務所の窓口で提出 ・郵送 ・オンライン申請(対応している場合) |
都道府県ごとに申告様式や提出方法が異なるため、新しい所在地の都道府県税事務所の公式サイトで詳細を確認してください。また、旧所在地の都道府県税事務所にも届出が必要な場合があるので注意しましょう。
(出典:主税局「法人事業税・法人都民税」/ https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/work/a1)
年金事務所
年金事務所への届出も忘れずに行いましょう。
項目 | 内容 |
期限 | 移転後、5日以内 |
必要書類 | ・健康保険 ・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 ・登記事項証明書のコピー |
提出先 | 新所在地を管轄する年金事務所 |
申請方法 | ・年金事務所の窓口で提出 ・郵送 ・電子申請 |
特に従業員数が多い場合は速やかな対応が求められます。また、日本年金機構の電子申請システムを利用すれば効率的に手続きを進めることが可能です。
(出典:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄外の場合)の手続き」/ https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20141205.html)
労働基準監督署
社員を雇用している場合、労働基準監督署への届出が必要です。
項目 | 内容 |
期限 | 移転後、10日以内 |
必要書類 | ・労働保険名称、所在地等変更届 ・雇用保険事業主事業所各種変更届 |
提出先 | 新所在地を管轄する労働基準監督署、または公共職業安定所 事業所の所在地を管轄する公共職業安定所 |
申請方法 | ・労働基準監督署の窓口で提出 ・郵送 ・電子申請 |
労働基準監督署への届出は労働者保護を目的としており、不備があると指導対象となる可能性があります。また、新しい所在地で安全衛生管理体制を再整備することも推奨されます。
(出典:東京ハローワーク「適用事業所に関するQ&A」/ https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/kakushu_jouhou/koyouhoken/koyouhoken/QA/tekiyoujigyousyo_qa.html)
公共職業安定所(ハローワーク)
雇用保険に加入している場合、ハローワークへの届出も必要です。
項目 | 内容 |
期限 | 移転後、10日以内 |
必要書類 | ・雇用保険事業主事業所各種変更届 ・労働保険名称所在地等変更届(労働基準監督署に提出したものの控え) ・登記事項証明書のコピー |
提出先 | 新所在地を管轄するハローワーク |
申請方法 | ・ハローワークの窓口で提出 ・郵送 ・電子申請 |
ハローワークへの届出では、新旧両方の管轄ハローワークへ連絡する場合があります。特に雇用保険料納付先が変わる場合には注意してください。
(出典:ハローワーク インターネットサービス「雇用保険事業主事業所各種変更届」/ https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohoJigyoChangeLink)
警察署
許認可を受けて事業を行っている場合、警察署への届出が必要となることがあります。また、防火対象物使用開始届出書の提出が必要な場合もあります。
項目 | 内容 |
期限 | 各許認可によって異なる |
必要書類 | 各許認可によって異なる |
提出先 | 新所在地を管轄する警察署 |
申請方法 | 警察署の窓口で提出 |
警察署への届出は許認可内容によって大きく異なります。例えば風俗営業許可の場合、新しい所在地で改めて審査を受ける必要があります。詳細は必ず管轄警察署へ確認してください。
(出典:警視庁「各種手続き」/https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/index.html)
郵便局
郵便物の転送手続きを行うことで、旧住所宛の郵便物を移転先住所へ転送できます。
項目 | 内容 |
期限 | 転送開始希望日の2週間前を推奨 |
必要書類 | ・転居 ・転送届 ・本人確認書類(法人の場合は代表者の本人確認書類と代表者印) |
提出先 | 郵便局 |
申請方法 | ・郵便局の窓口で申請 ・郵送 ・インターネット(e転居)で申請 |
郵便局での転送サービスは1年間無料で利用できます。ただし、それ以降も継続して利用する場合には新たな手続きが必要です。取引先が送った郵便物の受取漏れを防ぐためにも、早めの対応がおすすめです。
(出典:郵便局「会社、団体等の転居、開業、閉業の場合の手続について教えてください」/ https://www.post.japanpost.jp/question/103.html)
まとめ
事務所の移転には、多くのオフィス移転業務が伴います。オフィスの解約や通信環境の整備はもちろん、銀行や取引先への連絡も重要です。さらに、移転後には法務局での登記変更、税務署や年金事務所への届出など、公的機関への手続きが必要となります。手続きには期限が設けられているため、いつまでに提出するのかスケジュールを作り、計画的に移転作業を進めましょう。
特に公的機関にかかわる手続きは、漏れがあると業務に大きな悪影響を与えます。近年は電子化が進められたことで、コンピュータを使って簡単に申請できる手続きも多いため、早めに済ませるのが大切です。