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2026/09/15
人材派遣と人材紹介の大きな違いは、働く人と雇用契約を結ぶ相手です。派遣では派遣元が雇用し、紹介では求人企業が直接雇用します。そのほかの違いは、必要な資金や許可、事務所の条件などです。
当記事では、両事業の仕組みやメリット、顧客ニーズごとの使い分け、開業時の許可・事務所要件を比較します。大阪で起業や拠点開設を検討している方は、事業計画を立てる際の参考にしてください。
人材派遣と人材紹介の特徴の違い
人材派遣と人材紹介は、企業の人材確保を支援する点では共通しますが、サービス内容や雇用関係、収益構造などが異なります。まずは6つの観点から、それぞれの特徴を比較します。
比較項目人材派遣人材紹介提供するサービス自社が雇用するスタッフを派遣先へ送り出す求人企業と求職者の雇用関係の成立をあっせんする労働者との雇用関係派遣元と労働者が雇用契約を結ぶ紹介会社と求職者に雇用関係はない指揮命令を行う立場派遣先求人企業(入社後)事業者の主な業務採用・雇用管理・給与支払い・派遣先の開拓求人開拓・求職者の登録・マッチング・面接調整収益の発生タイミング派遣スタッフの稼働に応じて毎月発生採用が決まった時点で成功報酬として発生根拠法労働者派遣法職業安定法必要な許可労働者派遣事業の許可有料職業紹介事業の許可
提供するサービス
人材派遣が提供するのは労働力、人材紹介が提供するのは求人企業と求職者の出会いです。派遣では、派遣元が雇用するスタッフを派遣先へ送り出し、派遣先の指揮命令のもとで業務に従事します。契約中の就業状況や雇用管理は派遣元が担当するため、就業開始後も継続的な対応が必要です。
人材紹介は、求人と求職の申し込みを受け、雇用関係の成立をあっせんする事業です。候補者の紹介や面接調整などを行い、採用後の労務管理は求人企業が担います。
労働者との雇用関係
人材派遣では、派遣スタッフと雇用契約を結ぶのは派遣元です。給与の支払い、社会保険の加入、有給休暇の付与など、雇用主としての責任は派遣元が負い、業務上の指揮命令は派遣先が行います。雇用主と実際の就業先が分かれる点が特徴です。
人材紹介では、紹介会社と求職者の間に雇用関係は生じません。採用が決まると、求職者は求人企業と直接雇用契約を結び、給与も求人企業から支払われます。
事業者が担当する業務
人材派遣は雇用管理、人材紹介はマッチングが業務の中心です。派遣元は、スタッフの採用、給与計算、社会保険の手続き、就業中のトラブル対応、教育訓練などを担います。派遣先の開拓だけでなく、スタッフが安定して働ける環境の整備も役割です。
紹介会社は、求人企業の開拓、求職者の登録、求人票の作成支援、候補者の紹介、面接調整、条件交渉などを行います。企業と求職者の希望を把握し、双方に合う組み合わせを見極めることが重要です。入社後の雇用管理は求人企業が担当します。
料金・収益が発生する仕組み
人材派遣では、派遣スタッフの稼働時間に応じて派遣先から料金を受け取り、スタッフへ賃金を支払います。厚生労働省の令和6年度労働者派遣事業報告書によると、8時間換算の派遣料金の平均は26,257円、派遣労働者の賃金の平均は16,735円でした。差額は社会保険料や有給休暇、教育訓練、募集費、運営費などに充てられるため、そのまま利益になるわけではありません。
人材紹介の手数料には上限制手数料と届出制手数料があります。上限制手数料は、課税事業書の場合は原則支払われた賃金額の11.0%(免税事業者は10.3%)が上限です。届出制手数料では、厚生労働大臣へ届け出た手数料表に基づき、想定年収などを基準に成功報酬を設定するケースがあります。
(出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」/https://www.mhlw.go.jp/content/001684019.pdf)(出典:厚生労働省「紹介手数料の最高額の改正について」/https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06885.html)
事業に必要な許可
人材派遣には労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可、人材紹介には職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可が必要です。両方を営む場合は、それぞれの許可を取得します。
許可の有効期間は、どちらも新規3年、更新後5年です。申請先は事務所を管轄する都道府県労働局で、大阪府内に拠点を置く場合は大阪労働局が窓口となります。審査には時間がかかるため、開業日は許可取得までの期間を踏まえて決めましょう。
顧客の利用シーン
人材派遣は、繁忙期の増員や産休・育休による欠員の補充など、必要な期間が限られる場面に向いています。採用選考の負担を抑え、比較的短期間で人材を確保したい企業に利用されます。
人材紹介は、正社員や専門職などを直接雇用したい場合に適したサービスです。成功報酬型であれば、採用が決まるまで紹介手数料が発生しない点も企業側の利点です。顧客が求める雇用期間と雇用形態を確認すると、適したサービスを提案しやすくなります。
人材派遣事業を行うメリット
人材派遣には、継続的な売上を得やすく、登録スタッフを複数の案件で活用できる強みがあります。事業者側から見た主なメリットを確認しましょう。
派遣期間中は継続して売上が発生する
派遣契約中は、スタッフの稼働時間に応じて毎月売上が発生します。1人が月160時間稼働し、時間単価が2,000円なら、月32万円の売上です。契約が更新されれば、新規営業を繰り返さなくても売上が継続し、稼働人数が増えるほど事業の土台が厚くなります。
一方、スタッフへの賃金は派遣先からの入金前に支払う場合があるため、運転資金の確保が必要です。社会保険料や有給休暇の費用も踏まえ、売上だけでなく入出金の時期や粗利を事業計画に反映しましょう。
既存の派遣スタッフを複数の案件へ生かせる
派遣元がスタッフを雇用しているため、1つの契約が終了しても別の派遣先へ配置できます。同じ職種の案件へ移ってもらえれば、新たな採用コストを抑えながら稼働の継続が可能です。採用が難しい職種ほど、経験者を継続的に確保できる価値は高まります。
就業先を紹介し続けられる環境は、スタッフの定着にもつながります。経験を積んだスタッフを高単価の案件へ提案できれば、顧客への対応力が上がり、取引拡大も期待できるでしょう。
短期・長期を含む幅広い人材需要に対応しやすい
派遣は、繁忙期の業務やイベント運営、システム開発など、期間の異なる人材需要に対応できます。顧客の繁忙期やプロジェクト期間に合わせて、契約期間や必要人数を調整できる点が強みです。
ただし、派遣元との労働契約期間が30日以内となる日雇派遣は原則禁止です。短期案件を扱う際は例外要件を含め、制度を確認する必要があります。また、同一の派遣先事業所が派遣を受け入れられる期間は原則3年です。同じ組織単位で同一の派遣労働者が働ける期間にも上限があるため、長期案件では抵触日を管理しましょう。
人材紹介事業を行うメリット
人材紹介は、自社で求職者を雇用する必要がなく、派遣より低い資産要件で始められる点が特徴です。少人数で起業したい事業者にも検討しやすい形態です。
紹介する人材を自社で雇用する必要がない
人材紹介では求職者と雇用契約を結ばないため、紹介する人材の給与や社会保険料を負担しません。労働時間の管理や有給休暇の付与なども、採用後は求人企業が担います。派遣事業に比べ、求職者に関する毎月の人件費や労務管理の負担を抑えられます。
紹介会社の主な役割は採用成立までの支援であり、多数のスタッフを雇用管理する必要がありません。ただし、求人企業と求職者の集客、面談、選考支援を行う人員や仕組みは必要です。
人材派遣と比べて財産的基礎の許可要件が低い
有料職業紹介事業では、基準資産額が1事業所あたり500万円以上、自己名義の現金・預貯金が150万円以上必要です。
(出典:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」/https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001732374.pdf#page=29)
対して労働者派遣事業では、基準資産額2,000万円以上、現金・預金1,500万円以上に加え、基準資産額が負債総額の7分の1以上であることが求められます。1事業所のみを有し、常時雇用する派遣労働者が10人以下である事業者などには暫定的な配慮措置もありますが、適用には条件があります。自己資金が限られる場合は、人材紹介から始め、事業基盤を整えてから派遣へ広げる方法も選択肢です。
(出典:厚生労働省「【法人】 労働者派遣事業許可有効期間更新申請 書類一覧」/https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/content/contents/002263595.pdf)
採用決定時に成功報酬を得るビジネスモデルを構築できる
人材紹介では、採用決定時に成功報酬を請求する仕組みが一般的です。年収600万円の人材を年収の30%相当で紹介すれば、売上は180万円になります。専門職や管理職など年収の高い人材では、成功報酬額も大きくなる傾向があります。
成功報酬型は顧客に提案しやすい一方、成約するまで売上が発生しません。また、採用者が早期退職した場合は、契約に基づいて手数料の一部を返すことがあります。返戻金制度を設ける場合は、条件や割合を手数料表などで明示しておきましょう。
人材派遣と人材紹介で対応できる顧客ニーズの違い
一時的な人手不足には人材派遣、直接雇用を前提とする採用には人材紹介が適しています。顧客の相談内容に応じた使い分けを確認します。
繁忙期や一時的な欠員への人材確保には人材派遣で対応する
年末商戦の増員や産休に入る社員の代替など、必要な期間が決まっている相談には人材派遣が向いています。正社員を採用すると繁忙期後も固定費が残りますが、派遣は契約期間に応じて利用できます。
求人票の作成や選考の負担を抑えやすく、急な欠員にも対応しやすい点がメリットです。顧客には、必要な職種や人数、期間、業務内容を確認した上でスタッフを提案します。
一定期間だけ必要な人材の確保には人材派遣で対応する
基幹システムの入れ替えや新工場の立ち上げなど、プロジェクト単位の人材確保にも派遣を活用できます。終了時期に合わせて契約期間を設定できるため、必要以上に固定人件費を抱えずに済みます。
派遣先事業所の期間制限を延長する場合は、過半数労働組合などへの意見聴取が必要です。提案段階で期間制限と必要な手続きを説明しておくと、契約後の混乱を防げます。
正社員などの直接雇用には人材紹介で対応する
正社員など、自社の一員として長く働く人材を求める相談には人材紹介が適しています。求職者と求人企業が直接雇用契約を結ぶため、企業は配属や教育、昇進などを自社の方針で決めることが可能です。将来の中核人材を採用したい場合にも向いています。
採用決定まで紹介手数料が発生しない成功報酬型は、採用コストを管理しやすい仕組みです。派遣期間を通じて適性を見極めた後の直接雇用を想定する場合は、紹介予定派遣も提案できます。
採用難易度の高い人材の採用支援には人材紹介で対応する
エンジニアや施工管理など、求人媒体だけでは応募を集めにくい職種にも人材紹介が活用されます。紹介会社は登録者データベースやスカウトを通じ、転職活動を公にしていない人材にも接触できます。
求人企業は、採用が決まった場合に費用を支払う条件で、候補者の探索や選考調整を任せられるのがメリットです。職種や業界に特化した紹介体制を構築できれば、他社との差別化にもつながります。
人材派遣・人材紹介事業を始めるために必要な許可一覧
人材派遣と人材紹介は、いずれも厚生労働大臣の許可が必要です。根拠法や財産的基礎、事業所要件は異なります。両方の事業を行う場合や紹介予定派遣を扱う場合は、2つの許可をそれぞれ取得します。
項目労働者派遣事業有料職業紹介事業根拠法労働者派遣法職業安定法許可権者厚生労働大臣厚生労働大臣基準資産額2,000万円 × 事業所数以上500万円 × 事業所数以上現金・預貯金1,500万円 × 事業所数以上150万円 + 60万円 ×(事業所数-1)以上負債とのバランス基準資産額が負債総額の7分の1以上定めなし事業所の面積おおむね20平方メートル以上位置・構造・設備・面積からみて適切であること選任する責任者派遣元責任者(講習の受講が必要)職業紹介責任者(講習の受講が必要)許可の有効期間新規3年、更新後は5年新規3年、更新後は5年収入印紙12万円 + 5万5,000円 ×(事業所数-1)5万円 + 1万8,000円 ×(事業所数-1)登録免許税9万円9万円取り扱えない業務港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関係業務の一部港湾運送業務、建設業務
資産要件は、原則として直近の事業年度の決算書で判断されます。基準に届かない場合でも、増資や中間決算によって申請できる可能性があります。自社の決算内容で要件を満たすか、専門家や労働局に確認すると安心です。
派遣元責任者と職業紹介責任者は、それぞれ指定講習の修了が必要です。講習の有効期間は、派遣元責任者が申請受理日前3年以内、職業紹介責任者が同5年以内です。受講日程が限られる場合もあるため、早めに申し込みましょう。
許可証の交付までは、書類提出からおおむね2~3か月かかります。申請時には契約済みの事業所が必要なため、物件選びと許可書類の準備を並行して進めることが大切です。
(出典:厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業の概要」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/riyousha_mokuteki_menu/jigyounushi/jigyousya/8080602.html)
(出典:厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために -許可・更新等手続マニュアル-」/https://www.mhlw.go.jp/content/001374043.pdf)
人材派遣・人材紹介事業の事務所を用意するときのポイント
事務所の面積や独立性、個人情報を守る設備は、許可審査に関わる重要な要素です。物件契約後の手戻りを防ぐため、事前に確認すべきポイントを整理します。
開業前に管轄の都道府県労働局へ許可要件を確認する
物件を契約する前に、管轄の都道府県労働局へ相談しましょう。大阪府内で開業する場合は大阪労働局が窓口です。図面や物件資料を提示し、事業所として認められるか、面積の算入範囲や共用部分の扱いを確認します。
レンタルオフィスでは、契約する専用区画だけで基準を満たすかが重要です。契約後に要件を満たさないと分かれば、初期費用と開業までの時間を失うため、候補物件の段階で相談しておきましょう。
(出典:厚生労働省「有料職業紹介事業の許可」/https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/yuryou_muryou_shokugyou/hourei_seido/kyoka.html)
事業所として使用できる面積を確認する
労働者派遣事業では、事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上必要です。20平方メートルは約6坪ですが、共用廊下やトイレ、他社と共有する会議室は原則として算入できません。募集図面の面積だけで判断せず、専用部分の範囲を確認しましょう。
有料職業紹介事業では、位置・構造・設備・面積が適切で、求人者や求職者のプライバシーを守れることが求められます。大阪労働局では、個室やパーティションによる区分、予約制で他の利用者と同室にならない環境なども示されています。
派遣のように20平方メートル以上が一律に適用されるわけではありません。両方の許可を取る場合は、派遣側の基準をもとに探しましょう。
個人情報や求職者の秘密を守れる環境を確保する
履歴書や職務経歴書には氏名、住所、職歴などの個人情報が含まれるため、外部から見られない状態で管理しなければなりません。施錠できるキャビネットなどを設置し、業務従事者以外が閲覧できない体制を整えます。電子データについても、アクセス権限や端末の管理が必要です。
面談内容が他の利用者に聞こえない環境も求められます。レンタルオフィスを利用する場合は、個室や適切な区画、施錠可能な保管設備を確保できるか確認しましょう。
要件を満たせるレンタルオフィスを検討する
初期費用を抑えて事務所を用意するなら、独立した専用区画を確保できるレンタルオフィスも選択肢です。机や椅子、通信環境などが整った物件であれば、内装工事や設備導入にかかる費用を抑えられます。
ただし、すべてのレンタルオフィスが許可要件を満たすわけではありません。住所だけを利用するバーチャルオフィスや、不特定の利用者が同じ空間を使うコワーキングスペースでは、派遣事業の事務所要件を満たすことが難しい場合があります。
人材派遣では、おおむね20平方メートル以上の事業スペースに加え、個人情報を適切に管理できる設備などが必要です。他社の区画と明確に分けられているか、施錠や書類保管ができるか、事業用途で利用できる契約かも確認しましょう。
完全個室型は独立性や情報管理の面で検討しやすいものの、最終的な適否は物件ごとに判断されます。契約前に図面や契約条件を大阪労働局へ示し、事業所として使用できるか確認することが大切です。
まとめ
人材派遣と人材紹介は、雇用関係や収益の仕組み、許可要件が異なります。人材派遣は継続売上を得やすい一方、スタッフの雇用管理が必要です。人材紹介は比較的少ない資産で始めやすいものの、採用が決まるまで売上が発生しないという特徴があります。
特に人材派遣は、人材紹介より財産的基礎や事業所面積の要件が厳しく、十分な準備が必要です。ただし、資産や責任者などの要件を満たし、おおむね20平方メートル以上の事業スペースと個人情報を守れる環境を確保できれば、完全個室型のレンタルオフィスも大阪で人材派遣事業を始める際の候補になります。契約前に大阪労働局へ相談しましょう。
天翔オフィスは、大阪の淀屋橋や肥後橋に完全個室型のレンタルオフィスを展開し、法人登記にも対応しています。必要な面積や設備を確認した上でご検討ください。
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